レアルマドリード、ジダンはモウリーニョより優秀な監督なのか?

レアルマドリードの監督は世界で1番難しい職業だと言われることがあります。
これまで多くの名将と呼ばれる監督たちが、レアルマドリードで指揮を執ってきましたが、成功者はほんの一握りです。

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そして、現在レアルマドリードの監督を務めているのは元フランス代表でレアルマドリードOBのジネディーヌ・ジダンです。このジダンの監督としての評価はまだ固まっていません。

果たして、ジダンは本当に優秀な監督と言えるのでしょうか?

今回は現マンチェスターユナイテッド監督のモウリーニョと対比して、レアルマドリードのジダン監督とモウリーニョ監督の評価を査定してみましょう。

ジダンとモウリーニョ、それぞれの立ち位置

カルロ・アンチェロッティは2000年以降のレアルマドリードの歴史において非常に重要な人物です。

レアルマドリード、ジダンはモウリーニョより優秀な監督なのか?

彼自身はこのクラブに2年しか在籍しませんでしたが、それでも彼が遺したものを考えると素晴らしいと言わざるを得ません。

アンチェロッティが2年間のレアルマドリードでの監督生活で遺したもの、それはチャンピオンズリーグのタイトルと、ジネディーヌ・ジダンという監督です。

ここ数年間のレアルマドリードの監督の系譜はモウリーニョーアンチェロッティーベニテスージダンと移り変わっています。

この変遷は5ヶ月の短命政権に終わったベニテスを除いて、良い兆候をレアルマドリードにもたらしていると言えるでしょう。

キーポイントとなったのは、やはりアンチェロッティで、モウリーニョ時代に遺った正の遺産は正しい方向形で残し、負の遺産は排除することに成功しました。そして、それを引き継いだジダンは経験が浅いなりになんとかアンチェロッティから受け継いだものをより良い形にしようとしています。

レアルマドリード、ジダンはモウリーニョより優秀な監督なのか?

アンチェロッティという優秀な監督からチームを引き継いだジダンはラッキーで(ベニテスという存在も彼にとってはラッキーだった)、まだ正当な評価を下すには少し時間を必要とするでしょう。

果たして、ジダンは現時点で優秀な監督と言えるのでしょうか?

モウリーニョの立ち位置

【ジョゼ・モウリーニョ】

レアルマドリード、ジダンはモウリーニョより優秀な監督なのか?

【生年月日】1963年1月26日生まれ

【出身地】ポルトガル・セッツバル出身

ジョゼ・モウリーニョはポルトガルの名門・ポルトでチャンピオンズリーグ優勝を果たし、頭角を現した偉大な監督です。

当時のポルトはとてもチャンピオンズリーグで優勝できるような戦力を擁していませんでしたが、その類稀な戦術眼で相手を丸裸にし、攻撃的なサッカーでポルトを優勝に導きました。

その後はイングランドのチェルシー、イタリアのインテル、そしてレアルマドリードの監督を歴任し、全てのリーグで優勝を果たしています。

2013-2014シーズンからはチェルシーに復帰して、プレミアリーグを制覇。しかし、昨シーズンは低迷するチームを操縦できず、途中解任の憂き目にあっていましたが、今シーズンからはマンチェスターユナイテッドの監督に就任しています。

モウリーニョの戦術

モウリーニョはボルトの監督時代は攻撃的なサッカーを志向していましたが、現在は強固な守備とパワフルなカウンターを信条とする監督です。

自分の信奉する戦術を実行するために、選手の選考において、要望が多く、非常に金のかかる監督です。それは、今夏のマンチェスターユナイテッドの補強にも現れています。

重用する選手は強靭で肉体的にタフな選手です。チェルシー時代のテリー、ドログバ、ランパード、インテル時代のサネッティ、サムエル、ルシオ、そしてレアルマドリード時代にはぺぺやクリスティアーノ・ロナウドを重用しています。

強靭で大柄、そして守備力の高い選手でゴール前をプロテクトし、中盤を省略した手数をかけない攻撃で相手ゴールに迫ります。

またマネジメント面ではライバルチーム、マスコミ、果ては審判など外に明確な敵を作って攻撃することで、チームに一体感をもたらします。特にペップ・グアルディオラ監督が率いたバルセロナとの壮絶なバトルはサッカーの枠を超えていました。

レアルマドリード、ジダンはモウリーニョより優秀な監督なのか?

こちらはバルセロナの元監督ティト・ビラノバに対して、モウリーニョが目潰しをした時の画像です。

当時のクラシコはほとんど肉弾戦に近い様相となっていました。

ジダンの立ち位置

【ジネディーヌ・ジダン】

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【生年月日】1972年6月23日生まれ

【出身地】フランス・マルセイユ生まれ

ジダンの指導者としてのキャリアはまだ3年しかありません。

2013年にレアルマドリードのトップチームのアシスタントに就任して、ジョゼ・モウリーニョの参謀として裏方に徹し、その戦術を吸収しました。

2014年から2016年の1月まではレアルマドリードのセカンドチームの監督に就任。監督としての第一歩を踏んでいます。

そこからトップチームの監督に就任するまでの間、フランス代表、そして古巣ボルドーの監督就任のオファーがありましたが、これを拒否し、2016年1月にラファエル・ベニテスの後を継いでレアルマドリードの監督に就任しています。

ジダンの戦術

戦術に関してはポゼッションとカウンターの両方を、相手に合わせて採用する柔軟性を備えているように見えます。これは結果に強いこだわりがあるからで、モウリーニョの影響を受けているように見えます。モウリーニョは守備重視の戦術から逸脱しませんでしたが、ジダンの場合は勝利という結果を得るために必要とあらばポゼッションとカウンターを使い分けています。

典型的だったのは、昨シーズンのチャンピオンズリーグの決勝のアトレティコマドリード戦で、この試合は本来ならレアルマドリードが簡単にポゼッションを握ることができましたが、アトレティコマドリードのカウンターを警戒し、ボールを放棄。カウンターの脅威を取り除くことに成功しています。アトレティコマドリードのカウンターは戦力で遥かに彼らを上回るバイエルン、バルセロナらを撃破していましたが、ジダンはその破壊力を考慮して、カウンターに対してカウンターで対抗するという奇策に出ています。

もちろん、この作戦はチャンピオンズリーグの決勝という至高の戦いのトーンを落としてしまいましたが、アトレティコマドリードの選手には明らかな戸惑いがありました。

ポゼッション戦術の遂行に関しては、クロース、モドリッチ、カルバハル、マルセロなど戦術に適した選手をピッチにバランスよく配置。クロースやカルバハルは今やこのポジションでも最も優秀な選手の1人と評価されるまでになりました。

メンタル的には選手時代の威光とカリスマ性で選手達を惹きつけつつ、アンチェロッティ仕込みの対話力で選手を納得させる術も心得ているようです。ベニテス時代は常にふて腐れていたクリスティアーノ・ロナウドは懸命に守備をするようになり、怪我がちだったベイルも完全に輝きを取り戻しています。昨シーズンやや冷遇した感のあるコロンビア代表ハメス・ロドリゲスやスペイン代表イスコらから一切不満の声が聞こえてこなかったのは、ジダン監督に対する一定のリスペクトがあったからでしょう。

アンチェロッティもドイツ代表サミ・ケディラやポルトガル代表ぺぺに対してあまり出場機会を与えませんでしたが、彼らから不満の声が出ることはなく、最後までチームプレーに徹していました。

現役時代は寡黙で、プレッシャーに対して激昂することもありましたが(ドイツワールドカップでの頭突き事件は未だに記憶に新しい人も多いでしょう)、監督になってからのジダンは常に謙虚で穏やか。そして、不当な批判を交わす余裕まで備えているように見えます。

レアルマドリード、ジダンはモウリーニョより優秀な監督なのか?

先日、バルセロナのジェラール・ピケがチャンピオンズリーグでのレアルマドリードのくじ運の良さを批判しましたが、ジダンは大人の対応を見せています。

「決勝トーナメントでは2ndレグはいつもホームだ。第1回戦がイタリア・セリエA3位のチーム、ベスト8でドイツ・ブンデスリーガ8位のチーム、そしてベスト4でイングランド・プレミアリーグ4位のチームと戦いたいね」

不用意な発言で内外に不要な敵を作らないのは、まさしくアンチェロッティのメソッドで、監督としてのジダンはモウリーニョとアンチェロッティの両方を併せ持っていると言って良いでしょう。

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ジダンはモウリーニョに追随する監督になれるのか?

ここまで新旧のレアルマドリード監督、 モウリーニョとジダンについての実績、 戦術を簡単にご紹介しました。

やはりレアルマドリードのファンとして気になるのは、 ジダンが監督としてモウリーニョに追随するほどの資質を秘めてい るのか、そして過去の名将たちを異なり、 長期政権を築くことが出来るのか、ということになります。

冒頭でもお伝えしたようにレアルマドリードの監督は非常に難しい 職業です。

要求が多いペレス会長、エゴが強い選手たち、 サポーターやライバルチームの外圧。 レアルマドリードの監督はこれらの全てをバランス良く管理して、 勝利というタスクに向かって任務を遂行しなければなりません。

これはカペッロ(在任:1年)も、ペジェグリーニ(在任:1年) も、アンチェロッティ(在任:2年)もモウリーニョ(在任: 4年)も出来なかったことです。

また、 レアルマドリードが長期的にベースとする戦術を組み上げることも 重要な任務です。

ここからはモウリーニョとジダンを比較しながら、「首脳陣との関係」、「選手たちとの関係」、「外圧」、「 長期政権」、「戦術の組み上げ」 の5つのタスクを果たせるかどうか、考察していきます。

ジダンとモウリーニョ比較①首脳陣との関係

ワンマン会長ペレスに信頼を置かれることはレアルマドリードで監 督を務めることにおいて、もっとも重要なポイントとなります。

この点においては、 現役時代からペレスに請われてレアルマドリードに入団し、 現在も寵愛を受けるジダンの方がリードしていると思われがちです が、 実はペレスはモウリーニョの再任を希望しているという噂もありま す。

この見栄えが良く、カリスマ性があるモウリーニョに対し、 ペレスは心酔していたのです。アンチェロッティ解任の際も、 モウリーニョに再任の意思を確認しているのです。

レアルマドリード、ジダンはモウリーニョより優秀な監督なのか?

もちろんジダンも愛されてはいますが、現在はハメス・ ロドリゲスの処遇をめぐって、 ペレスと対立しているとも噂されています。

ジダンはこの問題児の退団も望んでいると言われていますが、 ペレスは広告塔として優秀なコロンビアのエースの残留を希望して いると言われているのです。

ほぼ自分の希望通りのオペレーションを実現させてきたモウリーニ ョに対し、 首脳陣とどのように折り合いを付けて戦力にしていくのか、 ジダンの手腕が問われています。

ジダンとモウリーニョ比較②選手たちとの関係

選手との関係の構築に関しては、モウリーニョもジダンも非常に優れた監督ですが、ただし、良い関係を築くまでのアプローチは大きく異なっています。

モウリーニョがメディアや審判、ライバルチームを明確な敵とみなして、自分たちをそれを打破する強固な集団と変貌させるのに対し、ジダンはアンチェロッティと同じく、温和で選手たちとの対話を重視して、良い関係を築こうとします。

モウリーニョのアプローチは選手に必要以上の緊張を生み、最終的には瓦解し自身が監督を解任されるという憂き目にあっています。それはレアルマドリード時代もチェルシーでの第2次政権でもありました。特にレアルマドリード時代にはキャプテンのイケル・身体シージャスやセルヒオ・ラモスといったスペイン勢と強烈に対立しています。カシージャスに関しては本来の実力を度外視してベンチに降格させています。

アンチェロッティのような選手とのフラットな対話で関係を構築するジダンのスタイルはレアルマドリードの選手たちから概ね好意的に受け取られています。今はレアルマドリードの選手たちが「ジダンのために」と必死で戦う姿を見ることができます。特にベニテス時代はディフェンスのタスクに対して露骨に嫌な顔をしてロナウドが、ジダン就任後、しっかりと下がってディフェンスをするようになったのは、ジダン効果です。アンチェロッティはレアルマドリードの監督解任直後には選手から別れを惜しむ声が続々を聞こえました。我が強くプライドが高いレアルマドリードの選手たちに、ここまで満遍なく愛される監督は非常に珍しいです。

レアルマドリード、ジダンはモウリーニョより優秀な監督なのか?

ジダンに関しては、選手との信頼関係が難しくなったシチュエーションを未だに経験したことがなく、それが起こったときに監督としてどのように対応するのか、という点が気になります。今はそのカリスマ性で選手たちを惹きつけることに成功していますが、どのような対応を見せるかが、監督としてのお手並み拝見となります。

ジダンとモウリーニョ比較③外圧

レアルマドリードというクラブは世界で最も外部からのプレッシャーが大きいクラブです。サポーターの要求が大きく、会長も黙ってはいません。そしてバルセロナやアトレティコなどライバルクラブからの批判もあります。

モウリーニョの場合は、なんどか前述しているように、そういった外圧を逆手に取り、彼らを明確な敵として進んでいく集団を作り上げようとしました。しかし、そのやり方には一部の選手からは不満が起こっています。レアルマドリード監督時代の末期にはどこかとりつかれた様に、四方八方に口撃するモウリーニョの姿がありました。最終的には懇意にしていたロナウドやペペとの関係も崩壊。モウリーニョ政権のレアルマドリードは悲惨な終幕を遂げています。

一方でジダンは選手時代になんどもプレッシャーのかかるシチュエーションを経験しており、プレッシャーを飼いならすメソッドを持ち合わせています。レアルマドリードの監督に就任していきなりチャンピオンズリーグの決勝に進出したときも飄々とした態度で試合にも会見にも臨んでいました。

前述したバルセロナのピケの批判等もやんわりとかわす余裕を見せており、モウリーニョのように他社を余計に口撃する意思もないようです。モウリーニョとは1シーズンともレアルマドリードのベンチに座っていますが、どうやら彼の悪い部分は吸収していないようです。

ジダンとモウリーニョの比較④長期政権

レアルマドリードの永遠の課題ともいえるでしょう。

とにかくペレス会長に堪え性がなく、継続性をもったチーム作りができません。レアルマドリード時代はここ8シーズンほど十分にチャンピオンズリーグで優勝できる戦力を整えていましたが、会長が組織構築に協力せず、ほとんどの監督が志半ばでレアルマドリードの監督解任となっています。

例えばチリ人監督のマヌエル・ペジェクリーニは選手たちが流動的に動いてチャンスを想像するというクオリティの高いチームを作り上げていましたが、結局チャンピオンズリーグベスト16、リーガエスパニョーラで2位と結果を残すことができず、モウリーニョ監督に交代となっています。当時のリーガはバルセロナがグァルディオラ政権下が熟成しており、圧倒的な力を見せていました。ペジェクリーニには時間が与えられず、1年目のモウリーニョとほとんど同じ成績となりましたが、監督応対の憂き目にあっています。

アンチェロッティも同様で、1年目にチャンピオンズリーグを獲得しましたが、2シーズンめは選手に怪我が続出して失速。ここでも情状酌量の措置はとられず、周囲からの大反対を押し切ってアンチェロッティを解任。ベニテスを招聘しています。

モウリーニョは近年でも4シーズンという長期政権を築きましたが、「彼なら何かやってくれる」というオーラは凄まじいものがありました。現にレアルマドリードはチャンピオンズリーグで6シーズン連続でベスト16で敗退するという不名誉な戦いが続いていましたが、このジンクスを破ったのはモウリーニョです。

モウリーニョ以降のレアルマドリードはチャンピオンズリーグを大の得意のコンペティションにしており、ここ3シーズンで2回の優勝を誇っているのです。選手から苦手意識を取り除いたのは、まさしくモウリーニョの手腕でしょう。

ジダンの場合は、選手の育成と結果という両立させるのが難しいタスクをこなして、なんとか長期政権を築き上げることが求められています。2シーズン目は近年遠ざかっているリーガのタイトルを獲得し、若手の成長に寄与することが出来れば、レアルマドリードの監督として3年目のシーズンが見えてくるのではないでしょうか?

ジダンとモウリーニョ比較⑤戦術の組み上げ

ジダンにとっては最大の課題をなるかもしれません。

アンチェロッティの攻撃サッカー、モウリーニョのカウンターサッカーなど、未だにジダンは自分の代名詞となる戦術を提示することができていないからです。

現時点では、選手たちを余計なストレスやプレッシャーから開放することで、選手のパフォーマンスを最大限に引き出しています。戦術は個人の能力を生かすだけに留まっており、今は組織的な崩しやポゼッション、そして明確な意図を示すことが出来ていません。その役割はほとんど、BBCとルカ・モドリッチ、そしてトニ・クロースの判断に委ねられています。

モウリーニョはカウンターサッカーという明確な戦術を有しており、選手たちはその戦術の中で能力を存分に発揮しました。特にマンチェスター・ユナイテッド時代に成長が頭打ちかと思われていたロナウドは、レアルマドリードでもさらい飛躍し年間50ゴールを保障するゴールマシーンに成長しました。そしてマルセロは守備が全く出来ないサイドバックから、堅実な守備者に成長しました。セルヒオ・ラモスはプレーの粗いサイドバックから世界最高のセンターバックに成長しています。

戦術面に関しては言い訳の許されないのが今シーズンのジダン監督です。これまでのレアルマドリードにはいなかったモラタやアセンシオなど特別な才能も加わり、さらに彼らを優秀な選手に成長させるタスクも背負います。果たして、ジダンはこの恵まれた戦力の中でどのような戦術を見せてくれるのでしょうか?

今回は新旧のレアルマドリード監督、ジダンとモウリーニョの比較を行いました。今シーズンが終わる頃には、ジダンの監督としての手腕を知ることができるでしょう。

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