日本のサッカーファンにとっては信じられないことが起こった。

12月19日、イングランド・プレミアリーグのリバプールが南野拓実の移籍について合意したと発表しました。

契約期間は4年半で移籍金は10億3千万円での合意となりました。

言うまでもなくリバプールは世界のフットボールクラブの頂点に立ち、クラブとしての絶頂期を迎えようとしています。

南野拓実はそんな偉大なクラブから声がかかったということです。

しかし、リバプールでの未来が明るいかどうかは正直なところ微妙なようにも見えるのです。

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今回は南野拓実のリバプールでの未来を展望してみましょう。

南野拓実はリバプールで輝かしい未来を築くことができるのでしょうか?

なぜ、リバプールは南野拓実を必要としたのか?

12月19日、レッドブル・ザルツブルクとリバプールが2020年1月からの南野拓実の移籍で合意しました。

日本人としては2018年の武藤嘉紀以来のプレミアリーグでプレーするフットボーラーの誕生ということになります。

リバプールは現在の世界のサッカーシーンで頂点に立つクラブ。

人気、名声、実力共に最も注目を集めるクラブと、南野拓実は契約することになりました。

そのようなクラブが南野拓実にオファーを出したのはなぜか?

もちろん、12月11日に行われたチャンピオンズリーグのグループステージでの対戦でゴールを決めた南野拓実が、強烈なアピールに成功したのは言うまでもありません。

たった1試合でのプレーから獲得に繋がるのは、データ至上主義の現代サッカーにおいては非常に稀で、実際には3つの条件を南野拓実が満たしたからだと言われています。

リバプールが南野拓実を獲得した理由①戦術的側面

リバプールの戦術を端的に表すなら、ハイラインプレスです。

最前線にいるFWが高い守備意識を持って失ったボールを即時奪回し、素早くゴールに向かって展開していくという、極めて高いインテンシティ(プレー強度)を必要とする戦術を採用しています。

リバプールのユルゲン・クロップ監督はこの戦術に対して南野拓実が十分な適性を備えていると判断して獲得にゴーサインを出したと言われています。

南野拓実が所属していたレッドブル・ザルツブルクは、一貫してハイラインプレスを採用して世界中から集めた若手選手をその戦術的文脈の中で育成。

彼らをメガクラブに売却することで収益を得ている、今ヨーロッパで最も育成面で注目を集めているチームである。

リバプールはすでにこのレッドブル・ザルツブルク出身の選手を二人擁しており、それがサディオ・マネとナビ・ケイタの両アフリカ人選手です。

両者はクロップ・リバプールの主力として活躍しており、とくにマネは今や世界最高のサイドアタッカーとの名声を得ています。

ザルツブルクで育った南野拓実であれば、戦術的な適応は比較的早いというのではないかという評価をされての獲得でしょう。

リバプールが南野拓実を獲得した理由②戦力的理由

リバプールの戦力は実はそれほど厚くはない。

特にマネ、モハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノの3トップが絶対的な地位を確立している前線は、ジェルダン・シャキリとディボック・オリギの両FWが戦力になりきれていないという状況で、シャキリは出場機会の少なさに不満を持っていてこの1月の放出が噂されています。

中央とサイドの両方でプレー可能な南野拓実は、こうした戦力的不足を解決してくれる可能性を秘めています。

リバプールでのデビュー戦となったエバートンとのFAカップ(1月5日)では、ロベルト・フィルミーノの代役としてセンターフォワードでプレーしています。

当初はあくまでマネとサラーの両サイドアタッカーのバックアッパーとして評価されていると考えられていましたが、クロップは多くのポジションでの起用を考えているということが、このエバートン戦で示唆されていると言えます。

プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、FAカップ、カラバオカップ、クラブワールドカップと4つのコンペティションを戦ったリバプールにとって、こうしたマルチな選手は極めて戦力的な価値が高いと言えます。

ビッグクラブで本領発揮した経験がなく、年齢的にも頭打ちなシャキリに比べると伸び代と汎用性の高さだけで十分にお釣りがくるというのがクロップの評価でしょう。

リバプールが南野拓実を獲得した理由③財政的理由

2018年1月に獲得したフィルジル・ファンダイクの118億円の移籍金はリバプールの財政的に大きな負担を与えています。

2018-19シーズンのチャンピオンズリーグ優勝により90億円の賞金を手に入れながらも、2019年の移籍市場で戦力の拡充に動かなかったのも、このような背景があるからです。

現代のフットボールシーンにおいて、100億円を超える移籍金が発生する取引は決して珍しいものではなくなり、選手を獲得することによる財政的な負担は莫大なものになりつつあります。

そんな潮流の中で南野拓実の獲得に必要とする移籍金はわずか10億円と、非常に手が出しやすい金額となっている。

マンチェスター・ユナイテッドやバルセロナとの比較でやや劣勢だったアジアマーケットの開拓によって、10億円という移籍金はさほど時間がかからずに回収することができそうで、上述した戦術的・戦力的な問題点をこの移籍金で解決できるのであれば、費用対効果が高い非常に賢い買い物になります。

南野拓実のリバプールは移籍はこのような理由で非常にスムーズに進みました。

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いかにして南野拓実はリバプールで起用されるか?

しかし、移籍してきてから実際にどのようなプレーが見せられるかは、やはり南野拓実次第だと言えます。

クロップ監督が南野拓実をどのポジションで起用する意向なのかは、もう少し時間が過ぎないと確認することはできません。

想定される起用法は全部で三つあると言われています。

南野拓実の起用法①センターフォワード

すでに一度センターフォワードで起用されているので、3トップの中央での起用は想像が難しくないでしょう。

いわゆる大柄で屈強なブリティッシュなタイプのセンターフォワード像からはかけ離れているのは事実ですが、それはフィルミーノも同じで、中盤に引いてきたりサイドに流れたりしてスペースを作り出すのもクロップ・リバプールのセンターフォワードに求められる役割の一つ。

この役割は問題なくこなせそうで、あとはゴール前でのプレゼンスや得点力をいかに見せられるか、という点に注目が集まります。

南野拓実の起用法②ウイング

リバプールの4-3-3に南野拓実の最適なポジションを見出すとしたら、このポジションです。

いわゆる純粋なウイングではないですが、サイドを根城にオフ・ザ・ボールの動きで中央に侵入してフィニッシュに絡んでいく動きが求められるでしょう。

クロスをあげるのはサイドバック(トレント・アレクサンダー=アーノルド、アンドリュー・ロバートソン)に任せるとして、よりゴールに向かうプレースタイルでアピールする必要があるでしょう。

南野拓実の起用法③インサイドハーフ

バイタルエリアの近くという南野拓実が最も得意とするエリアでのプレーからは少々遠ざかりますが、インサイドハーフでの起用の可能性も十分に考えられるでしょう。

それは南野拓実の特徴が、リバプールの中盤の弱点を解決しうるからです。

リバプールの中盤はインテンシティに持ち味がある反面、やや火力不足でこのゾーンから得点が生まれるケースは比較的少なくなっています。

ジェームズ・ミルナー、ジョルジニオ・ヴァイナルダムが2得点、ジョーダン・ヘンダーソン、アレックス・チェンバレンが1得点。

前線、あるいはその後方でプレーしてきて毎年のように10得点前後のゴールを決めてきた南野拓実のインサイドハーフでの起用は、こうした中盤の得点力不足を解決し得るソリューションになるかもしれません。

問題は攻撃面よりも守備面か。

前線におけるネガティブ・トランジション(攻→守の切り替え)は、失ったボールの即時奪還を目指したプレスがファーストチョイスとなりますが、中盤においてはプレスに加わるのか、ディレイ(敵の攻撃を遅らせる)するのか、リトリート(下がって守る)するのか判断が難しくなります。

守備組織の一員として、いかにその連動性を吸収できるかが、インサイドハーフでの起用の成否を分けることになるでしょう。

ただし、さっそくこのポジションでスクランブル起用される可能性も浮上しています。

1月11日に行われるトッテナム戦に、ファビーニョ、ミルナー、ナビ・ケイタの三名が欠場するとクロップ監督が発表。

比較的戦力が充実したポジションでしたが、主力3人の離脱によって不安が残る陣容となっています。

アンカーはマルチのヘンダーソンが埋めて、インサイドハーフはヴァイナルダム、チェンバレン、ララーナ、そして南野拓実の四人の中から選択されることになるでしょう。

モウリーニョ監督が就任して徐々に上昇気流に乗りつつあるトッテナムだけに、南野拓実をいきなり起用するリスクを負うのは考えづらいですが、思い切った策を使うクロップだけに見逃せない一戦になるでしょう。

南野拓実のリバプール移籍は正しかったのか?

南野拓実のリバプール移籍は、あらゆる側面で現在のこのチームの課題を解決しうる可能性を秘めています。

ただし、明るい未来が待っているかというと、決して楽観はできません。

やはりオーストリアという“辺境の地”で戦ってきた南野拓実にとって、世界最高峰のプレミアリーグでのプレーは非常に挑戦的だからです。

香川真司や稲本潤一らサッカー日本代表の先人たちもインパクトを残すことはできず、志半ばでプレミアリーグを去っています、

2019年の夏は移籍市場において静観しただけに、2020年の夏は大金を投じてビッグネームを獲得する可能性があり、ライバルの出現も気がかりです。

何よりもレギュラークラスとベンチメンバーの戦力格差が比較的大きいリバプールで地位を固めるのはそれなりの苦労が伴うことになるでしょう。

残り半分となった2019-20シーズンで、どこまで存在感を発揮することができるのかによって、南野拓実のリバプールでのキャリアは大きく左右されそうです。

試運転などとは考えずに早めに目に見える大きな結果が求められるでしょう。

そして、それは決して簡単なことではなく、ベンチで燻り埋もれていく可能性が高いというのが筆者の見立てです。

今回は南野拓実のリバプール移籍についてお伝えしました。

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