サッカードイツ代表とバイエルンでキャプテンを務めた、フィリップ・ラームが惜しまれながら引退しました。
ベテランの域に差し掛かったといえども、まだ33歳で肉体的にもまったく衰えは感じられませんでした。
それでもラームは引退を決断しました。
なぜなら…
ラームなりの現役に対する美学が、引退を決断させたのです。
そして、2017年サッカードイツ代表は新たな局面に突入。
ラームと並ぶキャプテンの一人だったシュバインシュタイガーもサッカードイツ代表を引退し、新しいリーダーの存在が求まられています。
果たして、サッカードイツ代表を引っ張る新たなキャプテンとは誰になるのでしょうか?
サッカードイツ代表がワールドカップ連覇に向けて試運転開始!
サッカードイツ代表がワールドカップでの連覇に向けて試運転を開始しました…
6月にロシアで行われるコンフェデレーションズカップのメンバー25人を発表したのです…
そのサッカードイツ代表のメンバーの中に、経験豊富なベテランと中堅は一切招集されていません。
つまり、サッカードイツ代表はこのコンフェデレーションズカップを若いメンバーで臨みます。
この大会では若く経験が浅いメンバーを引っ張る新しいサッカードイツ代表のキャプテンがお目見えとなります。
果たしてそのメンバーとは誰なのでしょうか?
こちらがコンフェデレーションズカップに臨むサッカードイツ代表のメンバーです!
GK
レノ(レヴァークーゼン)
テア・シュテーゲン(バルセロナ)
トラップ(パリ・サンジェルマン)
DF
ギンター(ドルトムント)
ヘクトル(ケルン)
ヘンリヒス(レヴァークーゼン)
キミヒ(バイエルン・ミュンヘン)
ムスタフィ(アーセナル)
プラッテンハルト(ヘルタ・ベルリン)
リュディガー(ローマ)
ジューレ(ホッフェンハイム)
MF/FW
ブラント(レヴァークーゼン)
カン(リヴァプール)
デミルバイ(ホッフェンハイム)
デンメ(RBライプツィヒ)
ドラクスラー(パリ・サンジェルマン)
ゴレツカ(シャルケ)
ルディ(ホッフェンハイム)
サネ(マンチェスター・シティ)
シュティンデル(ボルシア・メンヒェングラッドバッハ)
ワグナー(ホッフェンハイム)
ヴェルナー(RBライプツィヒ)
ユネス(アヤックス)
2016年にフランスで行われたユーロにも召集されたのは、GKテア・シュテーゲン、DFキンミッヒ、へクター、ムスタフィ、MFドラクスラーくらいで残りのメンバーはほとんどが国際大会初出場となります。
現在サッカードイツ代表でキャプテンを務めるのはバイエルンのGKマヌエル・ノイアー。
常識的なGK像を覆したスーパーモダンなGKで、シュートストップも超一流なら、ハイボールの処理、ビルドアップの貢献度など、全ての面で特大の貢献が期待できる史上最高のGKです。
能力的な側面はもちろんチームメイトに与える安心感や相手への威圧感などメンタル的な部分でもチームを牽引する存在となっています…
ラームやシュバインシュタイガーがノイアーをサッカードイツ代表やバイエルンでキャプテンに指名したのは当然の成り行きです。
しかし、ご覧のとおりコンフェデレーションズカップにはノイアーは召集されていません。
また、サッカードイツ代表のキャップ数が30を超えるメンバーすらおらず今回のコンフェデレーションズカップのスタメンやキャプテン人事は大きな注目を集めています…
果たして、サッカードイツ代表のレーヴ監督はコンフェデレーションズカップで誰をキャプテンに指名するのでしょうか?
サッカードイツ代表の新時代を担う!4人のキャプテン候補!
サッカードイツ代表には4人のキャプテン候補がいます。
そのメンバーはレーヴ監督が深い信頼を与える選手であり、大きな期待を集めています。
あるいは今後数年にわたり、選手の代表を務める男になるかもしれない人材です…
サッカードイツ代表新キャプテン候補①キンミッヒ
バイエルン、そしてサッカードイツ代表から特大の期待を集める天才MFヨシュア・キンミッヒ。
局面を推し進める勇気のある展開力、的確な判断を支えるインテリジェンス、2016-2017シーズンはゴール前に飛び込むタイミングが完璧で得点力の高さも見せつけました。
バイエルンでは守備的MF、サッカードイツ代表ではサイドバックを務める機会が増えており、それぞれシャビ・アロンソ、ラームから教示を受けて育ちました。
2017-2018シーズンは偉大なキャプテンたちが引退したことで、さらに大きな責任を担うことになります。
それはサッカードイツ代表でも同様で、あるいはノイアー引退後にキャプテンに大抜擢される可能性も多いにありそうです。
1985年から1989年頃に生まれた、ノイアー、フンメルス、ケディラ、ボアテング、ヘーベデスなどのリーダー格が第一線から退くタイミングはほぼ同じと見られており、サッカードイツ代表屈指のタイトルコレクター、トニ・クロースも早期の引退を仄めかしています。
22歳の若さですでに15キャップ。
今回のコンフェデレーションズカップでさらにキャップ数を伸ばすでしょう…
早ければこのコンフェデレーションズカップでキャプテンへの抜擢、そして2022年頃には正式なキャプテンに就任するかもしれません…
サッカードイツ代表新キャプテン候補②ルディ
レーヴ監督がコンフェデレーションズカップで堅実な判断をするとしたら、この大会でサッカードイツ代表のキャプテンを務めるのはこのルディになるかもしれません。
2016-2017シーズンに躍進を果たしたホッフェンハイムでキャプテンを務めました。
サッカードイツ代表にも2014年頃から召集されています。
とはいえ、既に27歳でラームが築いたような長期政権は築けないでしょう。
タレント力もラームやシュバインシュタイガー、そしてキンミッヒに比べると一段も二段も劣るでしょう。

2017-2018シーズンにはバイエルンへの移籍が決定していますが、新天地でかなり劇的な成長曲線を描けない限りはキャプテン就任の線は薄いかもしれません。
ただし、コンフェデレーションズカップ限定であれば話は別か。
サッカードイツ代表新キャプテン候補③ムスタフィ
空陸両面で圧倒的な強さを発揮できることを今シーズンのアーセナルで証明済みの実力者シュコドラン・ムスタフィ。
フィード能力も非常に高く、フンメルスやボアテングと比較してもほとんど遜色ないセンターバックです。
しかも右サイドバックもこなすことができるマルチで、レーヴ監督からは非常に重宝されています。
今夏にはレアルマドリードやバイエルンが獲得に乗り出したほどの能力の高さを持っています。
2014年のブラジルワールドカップも経験済みで、今回のコンフェデレーションズカップに召集されたメンバーの中でも高い経験値を持っています。
ややドイツ国民からの関心が薄いのは、ブンデスリーガでトップリーグを戦った経験がないからです。
エバートンのユースで育ち、サンプドリアで頭角を現すと、バレンシアでリーガ・エスパニョーラ屈指の守備者であることを証明。
そして、現在はアーセナルの守備陣の中心としてプレーしています。
24歳の若さで攻撃の特徴が異なる4大リーグをドイツ以外経験しているのは特筆に価します。
しかも、その全て及第点以上の結果を残してきたのですから、自ずと期待値は高まります。
キンミッヒやノイアーに比べるとやや地味な印象がある選手ですが、キャプテンに推薦できる存在です。
いずれにしても、今回紹介した3人はコンフェデレーションズカップで経験をかさねつつ、ワールドカップまでの残り1年はノイアーやフンメルスなどのキャプテンの下でプレーすることになるでしょう。
何よりも求められるのはラームがサッカードイツ代表に残した、民主主義と信頼をさらに深化させることです…
なにせ、キャプテン一強のヒエラルキーがサッカードイツ代表では極めて一般的だったからです…
サッカードイツ代表新キャプテン候補④ドラクスラー
フランスのパリ・サンジェルマンに移籍して再びキャリアが上昇気流に乗り始めたユリアン・ドラクスラーも有力なキャプテン候補です。
まだ23歳の若さで2016年に行われたリオオリンピックへの出場資格さえ持っていた早熟の天才MFです。
183cmというサイドアタッカーとしては比較的大柄な部類に入り、既にブンデスリーガで6シーズン半を戦って153試合、リーグアンで17試合に出場、27得点を記録しています。
もはや風格としてはベテランの領域に入り、サッカードイツ代表でも30キャップという数字を持っています。
このペースでキャップ数を重ねていけば、サッカードイツ代表史上最多のキャップ数も見えてくるかもしれません。
既にサイドアタッカーのライバルであるロイスやシュールレを置き去りにした印象があります。
レーヴ監督もドラクスラーに対してさらなる期待を寄せているのか、ワールドカップ予選のサンマリノ戦ではキャプテンを託しました。
ただし、サッカードイツ代表の絶対的なキャプテンとして推薦できないのは、そのメンタル的な未熟さにあります。
2015年夏にはシャルケからの退団をクラブに懇願して、首脳陣の逆鱗に触れてヴォルフスブルクへ。
しかし、ヴォルフスブルクでも不満たらたらの態度でプレーしつづけ、結局パリに島流しに遭いました…
本人は高給が受け取れるパリではつらつとしたプレーができているようですが、例えば人格者だったラームと比較すると、自分が納得する環境でないと働けない悪癖がキャプテンとして相応しいかは疑問符がつくのです…
サッカードイツ代表の偉大な…でもヤバかったキャプテンたち…
サッカードイツ代表にはこれまで強烈なカリスマをもったキャプテンたちが多く存在してきました。
しかし、彼らに共通するのはカリスマを持っていながらも自分が思うようにならなければ気がすまないというめんどくさい人間性だったのです…
サッカードイツ代表の歴代キャプテン①ローター・マテウス
サッカードイツ代表として最多の試合出場(150試合)を誇り、ワールドカップには5度も出場しているローター・マテウス。
強靭な肉体、運動量を兼備したドイツらしいMFです。
強烈なリーダーシップを発揮してサッカードイツ代表の中心に長らく君臨しました…
しかし、マテウスはとにかく周りと衝突することでも知られました。
特にエースストライカーのユルゲン・クリンスマンとは口も利かない関係でした。
人当たりがよかったクリンスマンと権威主義のマテウスは水と油の関係だったのです。
1996年のユーロ直前に
『クリンスマンが自分を代表チームから追放しようとしている』
と発言し、辞退しています。
常にクリンスマンを攻撃し続けたマテウスに対して、対照的にクリンスマンは極めて冷静でした…
『我々は異なる人間だが、彼のことを悪くは思わない。むしろ尊敬している』
と発言しています。
あまりにも度が過ぎたマテウスはサッカードイツ代表から辞退しただけでなく、バイエルンからも放出の危機に。
キャプテンマークを剥奪されたことで危機感を覚え、他人を攻撃することを辞めています。
サッカードイツ代表の歴代キャプテン②オリバー・カーン
2006年のワールドカップを開催国として迎えたドイツはひとつの問題に揺れていました。

それはGK問題です。
当時、サッカードイツ代表のGKはオリバー・カーンからイェンス・レーマンのどちらかで世論が真っ二つに割れていました。
高い経験を誇りながらも、やや軽率なミスが散見され始めたカーン。
対してアーセナルでチャンピオンズリーグに出場し600分を超える無失点記録を更新したレーマン。
結果的に当時キャプテンだったカーンがセカンドキーパーに降格させられました。
そして、そのカーンに変わってキャプテンマークを巻いたのが、ミヒャエル・バラックでした。
泣きっ面に蜂状態のカーンは文字通りそこらじゅうを攻撃。
ワールドカップ終了後にはレーマンや当時のサッカードイツ代表の監督だったクリンスマンを批判。
そして、バラックに対してもキャプテンを奪ったと批判しています。
ワールドカップのときはレーマンを献身的にサポートし、称えあう二人の姿は人々の感動を呼びましたが…
特に準々決勝でアルゼンチン代表との試合がPK戦に突入しようとしたときに、カーンはレーマンを励まし続けました。
内面はギスギスしまくっていたようです…
サッカードイツ代表の歴代キャプテン③ミヒャエル・バラック
自国開催のチームのキャプテンという大役を見事に務め上げ、ベッケンバウアーの系譜を継ぐ偉大なキャプテンとも評されていたミヒャエル・バラック。
しかし、その4年後バラックには悪夢が待っていました。
チェルシーに在籍していた当時バラックは南アフリカワールドカップの直前にケビン・プリンス・ボアテングのタックルを後方からモロに受けて足首を負傷。
ボアテングはドイツ系のガーナ人で、弟のジェロームはサッカードイツ代表メンバーの一人。
しかもボアテングはガーナ代表としてワールドカップに出場予定で、グループリーグではそのサッカードイツ代表と対戦予定でした。
そして、この怪我によりキャリア最後のワールドカップ出場を見送ることになったのです。
バラックの代わりにサッカードイツ代表のキャプテンを務め上げたのがラームだったのです。
バラックを欠いたサッカードイツ代表は、一致団結して躍進。
準決勝で優勝するスペインに敗れましたが、2大会連続の3位という大成功を収めています。
それでもバラックは2012年のユーロへの出場を目指して代表生活の続行を目指していましたが、こうるさいキャプテンが去ったサッカードイツ代表にバラックが戻る余地はなかったのです。
ラームを中心とした民主的なチームは個々が個性と意見を尊重しあう、調和のとれたチームだったのです。
そんなチームがばバラックの復帰を認めるわけがありませんでした…
バラックはラームに対して、
『キャプテンマークを返すべきだ』
と発言。
対するラームは
『返したくない』
と反論しています。
バラックはラームは『ずるい』と発言して、未だに恨みを持っています。
その後のサッカードイツ代表はラームやシュバインシュタイガー、ノイアー、ミュラー、エジル、クローゼを中心とした素晴らしいチームになりました。
封建的体制から民主的なチームへと変貌をとげたサッカードイツ代表はラームが作り上げたといっても過言ではないのです…
ラームがいかに偉大なキャプテンだったかお分かりいただけましたでしょうか?
ラームに対しては経緯を抱いていたイタリアとユベントスのキャプテン、ブッフォンも惜別のメッセージを送っています。
「親愛なるフィリップへ、君はキャリアを通じてあらゆるタイトルを獲得してきた。そして今、引退を決断したと聞いている。僕が君に伝えたいのは、君と対戦できたことを誇りに思っているということ。君はいつでも勝利を目指し、それでいてとてもフェアな選手だった。サッカー界であれ、そうでなくても、君の将来の幸運を祈っているよ」
ラームは相手からも尊敬を集める偉大な男だったのです…
ノイアー、キンミッヒといった新たなる世代の選手達はラームが作り上げた民主主義をさらに発展させ、強固な絆を持ったチームを引き継いでいかなければならないのです。
今回はサッカードイツ代表のキャプテンについてお伝えしました。
そして、下のリンクではサッカードイツ代表のコンフェデレーションズカップのメンバーとスタメン予想をお伝えしています。
ヤング・ドイツはどのようなメンバーでコンフェデレーションズカップを戦うのでしょうか?

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