現在マンチェスター・シティに所属するチリ代表キーパー、 クラウディオ・ ブラーボがバルセロナからの退団を選択したのは大きな驚きでした 。
なぜなら、 ブラーボはバルセロナの絶対的な主力の一人だったからです。
しかし、結果的に
ブラーボはバルセロナからの移籍を選択しました。
なぜ、 この元バルセロナのキーパーは移籍を選択したのでしょうか?
そしてなぜ、マンチェスター・ シティで不安定なパフォーマンスを見せるブラーボの移籍が大失敗に終わりそうなのでしょうか?
バルセロナの正キーパー・ブラーボが移籍を決断! プレミア挑戦へ!
2016年8月、 バルセロナで正キーパーだったチリ代表クラウディオ・ ブラーボがバルセロナからの退団を表明し、 イングランドのマンチェスター・シティへの移籍を決断しました。
2014年にスペインのレアル・ ソシエダからバルセロナへの移籍を決断したブラーボ。
当然、レアル・ソシエダでも正ゴールキーパーを務めており、 好パフォーマンスを見せていました。
その勢いそのままにチリ代表の正ゴールキーパーとしてブラジルワ ールドカップに出場し、 結果的にはこの大会でのパフォーマンスがバルセロナ首脳陣の目に 留まり、バルセロナへの移籍が決まったのです。
しかし、それから2年後の2016年、 このチリ代表の正ゴールキーパーはバルセロナからの退団を選択し 、マンチェスター・シティへ活躍の場を移しています。
バルセロナではパーフェクトに近いパフォーマンスを見せていたブラ ーボはなぜ、移籍を選択したのでしょうか?
少なくともパフォーマンス面で見る限り、 ブラーボが移籍を決断する様子はなかったのですが…
ブラーボ最大の持ち味がバルセロナで機能!
バルセロナはブラーボの移籍と同時に、 ドイツのボルシアMGから同国代表キーパー・マルク=アンドレ・ テア・シュテーゲンを獲得しています。
2014年でバルセロナから退団していた元正ゴールキーパーのビ クトール・バルデスとセカンドキーパーのホセ・マヌエル・ ピントの穴を補填するためです。
ブラーボの持ち味は正確なキックと足元のテクニック。
バルセロナのキーパーには伝統的に組み立てに参加する能力が求められます。
それはブラーボの前の正キーパーであるビクトール・バルデスも同様で、積極的に組み立てに絡んで、リベロのように振る舞っていました。
本職のゴールキーパースキルはというと、反応が良くダイナミックなセーブが持ち味です。
結果的にブラーボは2014-20152015-2016シーズンでバルセロナのリーガエスパニョーラ制覇に大きく貢献しています。
しかし2016年、バルセロナ首脳陣はマンチェスター・シティからの移籍オファーを承諾し、ブラーボの放出を決断。
2016年マンチェスター・シティの監督に就任した元バルセロナ監督のグアルディオラがブラーボの獲得を希望したのです。
マンチェスター・シティでは玉突き移籍が起こり、前正キーパーのイングランド代表ジョー・ハートがイタリアのトリノへ移籍しています。

ライバルも去り、マンチェスター・シティの正キーパーとしてのブラーボの挑戦が始まりました。
しかし、ブラーボは大きな期待に応えられず、新しい環境でもがいでいます…
なぜ、元バルセロナキーパー・ブラーボの移籍は失敗に終わったか?
この元バルセロナのキーパーの移籍には大きなリスクがありました。
リーガエスパニョーラとプレミアリーグではキーパーに求められる役割が大きく異なるからです。
またプレースタイルもかなり異なります。
元アトレティコ・マドリードの正キーパーでマンチェスター・ユナイテッドに移籍したスペイン代表ダビド・デ・ヘアもプレミアリーグとリーガエスパニョーラの環境の違いに戸惑った一人です。
中盤から丁寧にボールを繋ぐパスサッカーが主流のリーガエスパニョーラに対して、プレミアリーグではボールがゴールから離れた位置にあっても次々とロングボールがゴール前に目がけて放り込まれてきます。
プレミアリーグのゴールキーパーに何よりも求められるのが、ハイボールの処理技術で、デ・ヘアはプレミアリーグ挑戦を経て、見事にこの弱点を克服することに成功し、足元の技術とセービング技術に優れた世界屈指のゴールキーパーとして認識されるようになりました。
しかし、デ・ヘアがうまくいったからと言って、ブラーボもプレミアリーグに適応できるかは別の話です。
デ・ヘアの身長が192cmであるのに対して、ブラーボは184cmとキーパーとしては非常に小柄な部類に入ります。
元々ハイボールの処理はあまり得意ではありませんでしたが、この欠点はリーガエスパニョーラではあまり露呈されませんでした。
しかし、プレミアリーグに移籍すると長所よりも短所が目立つようになってしまいました。
プレミアリーグ移籍のブラーボを襲った悪夢…
プレミアリーグに移籍してからのブラーボにとって最悪の試合となったのが21節のエバートン戦です。
この試合でマンチェスター・シティは4本の枠内シュートを浴びましたが、なんとブラーボはこのシュートを一本もセーブできず、0-4で大敗するという悪夢に見舞われました。
この試合以降、ブラーボはマンチェスター・シティでポジションを失い、ベンチ生活を余儀なくされています。
キャッチングやセービングなど、本来の古典的なゴールキーパーの役割が増えると、ブラーボはパフォーマンスを落としてしまいました。
そして、これにはブラーボ自身に問題があります。
9割の人が知らないブラーボの真実!
実はあまり知られていませんが、ブラーボは自ら自分を苦しめるセービングをするタイプのキーパーです。
ポジショニングの修正や味方のコーチングなどは積極的に行わず、その結果として、自身が苦しいセービングを強いられたとしても、それが豪快で、見た目が派手に移れば、それはブラーボにとってはOKなのです。
ワールドカップでもド派手なセーブで目立ちましたが、実際は派手に飛び上がったり、オーバーリアクションでセーブしているだけ、という批判がありました。
実際に同じくブラジルワールドカップで活躍したメキシコ代表ギジェルモ・オチョアは相手が放ったシュートが尽く自分の正面に飛んできていました。
これはいかに正しいオチョアが正しいポジショニングを取ることに注力しているかの証明です。
オチョアと近いのがイタリア代表ジャンルイジ・ブッフォンやフランス代表ユーゴ・ロリス、元チェコ代表ペトル・ツェフなどです。
彼らは正しい正確なポジションを取ること、正しい判断をすること、そして味方をコーチングすることこそが失点の可能性を低くするということを理解しています。
キーパーの仕事には限界があるのです。
恐らく危険なシーンをさほど作られることがなかったバルセロナで、ブラーボはキーパーの本質を学べなかったのでしょう。
バルセロナからマンチェスター・シティに移籍してアバウトではありますが、ボールが次々と放り込まれてくるテンポに馴染めないでいるのでしょう。
もちろんブラーボのように感覚を磨きぬいて大成したキーパーも過去にはいました。
2015年にレアルマドリードからポルトに移籍した元スペイン代表イケル・カシージャスや現在世界最高の守護神であるドイツ代表マヌエル・ノイアーも、どちらかというと感覚的にプレーするタイプでした。
驚異的な運動能力と神通力、そして自らの感性を研ぎ澄まして、共にキーパーとして一時代を築いた選手です。
とはいえ、ブラーボが彼等のような領域に到達することはないでしょう。
年齢的に33歳とすでに成長は頭打ちで、何よりカシージャスやノイアーは20台前半から世界屈指のキーパーとして名を馳せていました。
マンチェスター・シティのサポーターは未だにグアルディオラ監督がハートを移籍させたことに対して不可解に感じており、ハートは2017年夏には再びレンタル移籍するのではないか、と言われています。
なぜなら、ブラーボの後釜に収まり、足元のテクニックとセービングのセンスに長けたキーパーを移籍させようとしているようです。
ブラーボ移籍後のバルセロナのゴールマウスは…
現在、バルセロナではテア・シュテーゲンが正キーパーを務めています。
ブラーボと同じく足元のテクニックに秀でたキーパーですが、まだ24歳と若く、セービングやコーチングの面でも成長の跡が見れます。
バルセロナに移籍し正キーパーに定着してまだ数ヶ月で、不安定な面も覗かせますが、それは時間が解決してくれるでしょう。
バルセロナで安定したパフォーマンスを見せ続ければ、いずれノイアー後のドイツ代表の守護神の座も見えてくるはずです。
恐らく、バルセロナのゴールマウスはセカンドキーパーの入替えを移籍を行うに留めて、今後5年はテア・シュテーゲンが正キーパーを務めるでしょう。
ちなみに現在のバルセロナのセカンドキーパーは2016年にアヤックスから移籍してきたオランダ代表ヤスパー・シレッセンです。
今回はバルセロナのキーパーの移籍とその後についてお伝えしました。
そして、下のリンクでは2017年のバルセロナのメンバーとフォーメーションをお伝えしています。この記事を見れば移籍市場で補強スべきポイントはどこなのか、問題のあるポジションなどこなのか、知ることができるでしょう。
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