バルセロナのメンバー見てみるとそのあまりの豪華さに、
このチームに勝てるクラブが存在するのか?
と問いかけたくなってしまいます。
それほどに現在のバルセロナの戦力は飛び抜けているのです。
しかし、いかに戦力を豊富に揃えていようとも、戦術が強固でなければチームは烏合の衆となってしまいます。
案の定、2016-2017シーズンのバルセロナは戦術がチームの崩壊の原因となってしまいました。
今シーズンのバルセロナの戦術とは何なのか?
そして、戦術が崩壊した原因は何だったのでしょうか?
2017年、ついにバルセロナの戦術が崩壊…
2016-2017シーズンはバルセロナにとって方向転換を強いられる分かれ道となりました。
これまでルイス・エンリケが3シーズンに渡って作り上げてきたチームがついに崩壊したのです。
その崩壊を印象付けたのが、2月に行われたチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦のパリ・サンジェルマン戦です。
中盤を猛烈なプレスで消されたバルセロナはなす術なくフランス王者相手に4-0のスコアで敗れ去りました。
戦力では欧州のトップクラスのバルセロナが4-0で勝つことはあっても、逆は滅多になく、崩壊とルイス・エンリケ政権の終焉を印象付ける衝撃的な敗戦を喫しました。
3月1日にはルイス・エンリケが今シーズンをもってしての退任を表明。
来シーズンは異なる監督の下で新しい戦術を吸収するの改革元年となることが決まりました。
それでは、なぜバルセロナの戦術は崩壊したのでしょうか?
そもそもルイス・エンリケが採用していた戦術とは何なのでしょうか?
ルイス・エンリケがバルセロナに植えつけた戦術とは?
2014年にバルセロナの監督に就任したルイス・エンリケ。
ルイス・エンリケが真っ先にやったことは、ルイス・スアレスの獲得です。
それまで純粋なセンターフォワードを置いていなかったバルセロナにとって、スアレスの獲得は一種の冒険でした。
当然疑念が沸くのは、
『スアレスはバルセロナの戦術に馴染めるのか?』
という点です。
過去にバルセロナの戦術に馴染めなかったFWはたくさんいます。
筆頭はズラタン・イブラヒモビッチ。
イブラヒモビッチはシャビを中心とするパスサッカーと、メッシにフィニッシュを依存するスタイルに最後まで適応できず、グアルディオラ監督(現マンチェスターシティ)に追われるような形でバルセロナを去らなければなりませんでした。
同じことはスペイン代表ダビド・ビジャにも言えました。
メッシの黒子に徹する一方で割りを食ったビジャは、バルセロナでタイトルこそ獲得したものの、バレンシア時代のようなコンスタントな活躍はできず、最後まで適応には苦しめられたのです。
このような純粋なセンターフォワードは活躍できないという悪しき前例があったため、当然スアレスにも同じ疑念が向けられました。
しかし、スアレスが絶対的に活躍できるような戦術を考えてあげれば良かったのです。
スアレスは2014-15シーズンでシーズン途中からの参加ながら25ゴールを記録し、バルセロナの三冠に貢献しています。
2年めにはリーグ戦で40ゴール、そしてシーズン通算では59ゴールをゲットし、リーガ・エスパニョーラの連覇に貢献しました。
そして在籍3シーズン目に突入した2016-17シーズンにはバルセロナでの通算ゴール数が100に到達しています。
なぜ、スアレスはバルセロナで爆発したか?
スアレスがバルセロナの戦術の中で得点力を爆発させた理由は、シャビのスタメン落ちによるところが大きいです。
シャビはバルセロナで10年以上司令塔を務めたレジェンドで、無数のパスをつなぎ、味方にチャンスを供給。そのパススピードの速さに敵の守備陣は歪まされ、穴を作り出すことができました。
2014-15シーズンには加齢による衰えが原因でかつてのような存在感が失われてきましたが、ルイス・エンリケ監督はシャビの不在を無効にするべく、シンプルにメッシやネイマール、スアレスに預けるという選択をしました。
そうすることで共にドリブル突破力とスピード、打開力に長けた「MSN」が躍動し始めたのです。
一方でこのルイス・エンリケが取り入れた戦術は大きな問題も抱えていました。
そして、結果的にはこの「MSN」偏重の戦術がバルセロナの2016-2017シーズンの崩壊につながったのです。
なぜ、バルセロナの戦術は崩壊したのか?
「MSN」が完成してからというもの、バルセロナの年間ゴール数は軽々と100を超えます。しかもその内のほとんどを彼等が奪っているのです。
なぜ、これだけのゴールが生まれても、バルセロナは崩壊したのでしょうか?
それには3つの理由があります…
バルセロナの戦術が通用しなくなった理由①守備ブロックが崩せなくなった
「MSN」に素早くボールを渡し、彼等の推進力を活かして相手ゴールを陥落するというスタイルが確率されたバルセロナのオフェンスに対して多くのクラブが行った対策は、
『「MSN」にボールが渡る前に守備ブロックを形成する』
というもの。
人数が少ない状態で「MSN」から仕掛けられるということは、限りなく失点の確率が高まりますが、人数をかけて守備ブロックを作り、「MSN」の推進力をそぎ落とせば、その破壊力は途端に低下します。
ネイマールもメッシもスアレスもマーカーが2,3人いようと突破できる打開力がありますが、それでもゴール前に何重にも備えた壁を作られると、さすがにできることは減ってしまいます。
唯一創造性で相手守備陣を攻略できるのはメッシですが、たったひとりではできることはありませんでした。
バルセロナの戦術が通用しなくなった理由②中盤から創造性が失われた
シャビ、イニエスタ、ブスケッツで形成される中盤はバルセロナの最大のストロングポイントでした。
ボールを失うリスクが非常に少なく、しかも共にテクニックとビジョンに優れていたので、相手がどんなに強固な守備ブロックを作っても僅かな隙間をついて必殺のスルーパスを通すことができました。
あのメッシでさえも、シャビやイニエスタ抜きでは活躍できないと言われていたほどです。
しかし、ルイス・エンリケが到来したことで中盤を経由しない戦術に方針変換したバルセロナは一気に中盤の機能性が低下しました。
特にイニエスタなどは「やれることがない」状態になってしまい、中盤を亡霊のように右往左往する姿が散見されました。
特に「MSN」が決定的なチャンスを作れなくなると、頼りになるのは中盤以下になります。
しかし、高さがあるわけでも得点力があるわけでもなく、チャンスメイクに特化されたバルセロナの中盤は直線的なサッカーの中ではあまり存在感を発揮できなかったのです。
これがバルセロナの戦術が崩壊した2つめの理由です。
バルセロナの戦術が通用しなくなった理由③コンデション不良
「MSN」にとってこの3年間はほとんどサッカー以外のことに触れる機会がないほどの試合数をこなさなければなりませんでした。
バルセロナの選手として7月から始まるキャンプに参加し、8月末にシーズンが開幕すれば、5月までほぼ1周間に2試合のペースで試合を行ないます。
9月、10月、11月、3月には代表戦があり、その度に15時間以上かけて南米まで帰らなければなりません。
その代表では2014年のブラジルワールドカップに続き、2015年、2016年にはコパ・アメリカが開催され、6月はまるまる代表での試合に費やさなければなりませんでした。
ネイマールはコパ・アメリカに参加しなかった分、リオオリンピックに参戦し、決勝まで戦った分、シーズンが開幕してもバルセロナに合流することができませんでした。
この3年の間、「MSN」はまともに体を休める時間がなく、試合をこなしてきました。
そのため、特にシーズン序盤は「MSN」に疲れが色濃く反映され、特にネイマールなどはドリブルのキレこそなんとかキープしていましたが、シュートが尽く枠を外れてしまいました。
2015-2016シーズンのメッシ不在時に見せたような圧倒的な得点力を、今シーズンは見せられずにいます。
あまりにも「MSN」に依存しすぎる前輪駆動のチームは、この3人の出来次第で大きく結果が変わってしまうリスクがありました。
新しい戦術を考えるなどの策はあったのかもしれませんが、ルイス・エンリケがそれを怠ったのは確かでしょう。
これがバルセロナの戦術が崩壊した3つめの理由です。
ルイス・エンリケは既に2016-2017シーズンを持ってしての退団を表明しており、後任人事に注目が集まっています。
バルセロナの戦術を復活させるのは、この男だ!
バルセロナの首脳陣が新監督として就任を希望していると言われるのがセビージャのアルゼンチン人監督ホルヘ・サンパオリ。
欧州初上陸となったセビージャで超攻撃的なパスサッカーを標榜し、チームを上位戦戦意押し上げています。
このサンパオリであれば、バルセロナが失ってしまった中盤主体のパスサッカーを復活できるのではないか、と期待しているようです。
またフォーメーションなどの枠組みにとらわれず、選手の個性を引き出しながら戦術練り上げるのに長けた監督で、サンパオリの下であれば、出場機会を失っている選手や若手も本領発揮できるかもしれません。
セビージャでの在任は1年目で引き抜きは非常に難しいタスクですが、数年間バルセロナの監督を託してるのにふさわしい監督かもしれません。
今回はバルセロナの戦術についてお伝えしました。
そして下のリンクでは2017年の夏にバルセロナが獲得するであろう移籍市場におけるターゲットを紹介しています。バルセロナの補強戦略はどうなるのか?来シーズン以降のチームづくりにも影響する非常に大きな問題です。
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