あなたは鹿島アントラーズとレアルマドリードの試合を見たでしょうか?
2016年12月18日の日曜日。
単なる興行の試合ではなく、FIFAが主催の公式試合で、鹿島アントラーズがレアルマドリードと真剣勝負を行い、
信じられないことに勝利まであと一歩のところまで欧州王者を追い詰めたのです。
内容的には鹿島アントラーズが勝っていてもおかしくない試合内容で、判定に泣かされた部分も多分にあったように思えるこの試合。
何が鹿島アントラーズを奮い立たせて、レアルマドリードを追い詰めたのでしょうか?
あなたがこの記事を読み終わった時、その真相を知ることができるでしょう…
いかにして鹿島アントラーズはCWC決勝まで駒を進めたか?
FIFAクラブワールドカップに開催国王者として出場した鹿島アントラーズ。
一回戦ではニュージーランドのオークランドシティを破り、二回戦ではアフリカ王者のマメロディ・サンダウンズを撃破しました。
正直なところ、マメロディも鹿島アントラーズにとっては強敵で、かなり苦戦を強いられると予想していましたが、見事に快勝。
準決勝はコロンビアのアトレチコ・ナシオナルで実力・経験全ての面でこの南米王者が上を行っており、いかにマメロディを撃破して勢いに乗っている鹿島アントラーズといえども、この強敵のまえに屈するだろうと予想されていました。
しかし、フタを開けてみると結果は3-0という圧倒的なスコアで鹿島アントラーズが勝利。
Jリーグのクラブとして初めてクラブワールドカップの決勝にコマを進めました。
対するレアルマドリードは欧州王者として準決勝から参戦。
この試合では北中米カリブ海王者のクラブ・アメリカと対戦し、苦戦しながらも2-0で勝利。
鹿島アントラーズが待つ決勝へと駒を進めました。
鹿島アントラーズ対レアルマドリードの試合が接戦になった理由!
準決勝から決勝までの空きが1日長かったとは言え、長いJリーグのシーズンを戦い抜き、12月3日にチャンピオンシップを終えた鹿島アントラーズにとって、クラブワールドカップへと続く連戦は、まさに地獄の日程といえる過酷なものでした。
一方のレアルマドリードも14時間に及ぶ長いフライトでスペインから日本にやってきました。11月から12月にかけて重要な試合が重なっており、肉体的にも精神的にも疲労が伺え、特にクラブ・アメリカとの試合では明らかに力をセーブしていたように見えました。
このようにあまり、お互い充実したコンディションではなく、この試合は基礎技術や勝利への執念が試される試合となりました。
試合は前半9分にフランス代表カリム・ベンゼマのゴールでレアルマドリードが先制。
しかし、その後主導権を握り返したのは鹿島アントラーズで、前半終了間際の44分と、後半の54分という絶好のタイミングで柴崎岳がゴールを決め、逆転に成功しました。

なぜ、鹿島アントラーズはレアルマドリードを追い詰めることが出来たのでしょうか?
鹿島アントラーズがレアルマドリードを追い詰めた理由①ピッチの問題
日産スタジアムのピッチに慣れていた鹿島アントラーズに比べて、レアルマドリードは準決勝から明らかに日本のピッチへの適応不足を覗かせていました。
特に顕著だったのが、クリスティアーノ・ロナウドで、結果的にゴールを決めていたことからクローズアップされなかったものの、ドリブルで突っかけようとしながら、コントロールを失い、ドロップする場面が何度かありました。
昌子がうまくディレイしていたこともありますが、明らかにボールをこねくり回しすぎていました。
また右ウイングのルーカス・バスケスもドリブルが窮屈で、対峙した山本に終始劣勢を強いられていました。
レアルマドリードはサイドバックも含めた両翼からの崩しが主要な武器のため、この2人がブレーキになったことで、攻撃面で大きなマイナス材料になりました。
ドリブルに頼らないシンプルなプレーを心がけていたクロアチア代表のルカ・モドリッチやドイツ代表トニ・クロースが好パフォーマンスを見せていたのは偶然ではないでしょう。
レアルマドリードにとってはピッチコンデションがこの試合を大きく難しいものにしました。
そして、鹿島アントラーズ対レアルマドリードの試合で、欧州王者を困難にしたのは、もっと深刻な問題でした…
鹿島アントラーズがレアルマドリードを追い詰めた理由②精神力
鹿島アントラーズ対レアルマドリードの試合を見て、改めて確信したのは、サッカーというスポーツがメンタルスポーツなのだということ。
ホームの大歓声を受けていたこともあったこと、そしてレアルマドリードという大物を食ってやろうという意気込みがピッチに立つ全てのメンバーから伝わってきました。
全員が守備に懸命に従事し、両サイドバックの西と山本は幾度となくオーバーラップを繰り返していました。
柴崎も普段のやや淡白なプレーからは見違えるプレーを見せていました。
もっとも印象的だったのは、昌子源。
レアルマドリードという強敵を前にして、昌子は闘志と冷静さを共存させていました。
ロナウドと対峙すれば、相手がボールをロストするまで粘り強く守り、ベンゼマにはハードでタイトなマークを披露し、自由を与えませんでした。
空中戦でも正しいポジショニングで制し、ラインコントロールも申し分ありませんでした。
このクラブワールドカップを通して明らかなレベルアップの跡が見て取ることができました。4失点こそしましたが、そのほとんどが昌子に対応できるものではなく、責任の割合は小さかったように見えます。
反対にレアルマドリードの方は、この試合では一貫して闘志を感じられず、散漫なプレーが目立ちました。
特にこの試合で悪い印象を与えたのが、守備的MFカゼミーロ、フランス代表のセンターバック・ラファエル・ヴァラン、そしてコスタリカ代表GKケイラー・ナバスです。

カゼミーロとヴァランは柴崎にあっさりと振り切られて失点に直結するプレーをしたのがマイナス査定で、ナバスは2失点目の際のポジショニングが酷かったのです。
柴崎が左に開いたにも関わらず、ニアのコースを埋めずに大きなスペースを作ってしまいました。ニアはカゼミーロが切っており、シュートはこないと判断してしまったのかもしれません。
結果、終盤のロナウドのハットトリックと審判のミスジャッジに救われたレアルマドリードは鹿島に逆転勝利しています。
それにしても…
やはり鹿島アントラーズ対レアルマドリードの試合の審判は、最悪の審判でした…
ザンビア人審判がクラブワールドカップ決勝に不適格だった理由!
この鹿島アントラーズ対レアルマドリードの試合で審判を務めたのが、ザンビア人審判のシカズさん。
国際審判としては明らかに経験が浅く、なぜFIFAがこの審判をクラブワールドカップの決勝という重大な試合に抜擢したのか、わかりません。
問題のシーンが起こったのが後半30分、既にイエローカードを貰っていたセルヒオ・ラモスがカウンターを発動させようとしていた鹿島アントラーズの金崎をプッシュ。
これは明らかにカウンターを阻止しようとした戦略的なファールで、シカズ主審はイエローカードを提示しようと、胸ポケットに手を伸ばしました。
しかし、本人によると「第4審判に確認を取った」ことでファールは取り消しに。
確かにイエローカードに値するような威力ではなかったので、微妙な判定ではありましたが、カードが引っ込められたことに関しては大きな議論を呼びました。
一説によると、この審判は欧州王者としてのレアルマドリードの権威を守るために、カードを引っ込めたのではないかと疑われており、残念なことにこの判定で試合の行方をほぼ決定づけられてしまいました。
延長に入ると明らかに動きが重くなった鹿島アントラーズ。
カードがでなかったこと、連戦の疲労やレアルマドリードの選手たちをマークしてきたことによる消耗がのしかかっていました。
結果的に延長に立て続けにゴールを許す結果になり、鹿島アントラーズにとっての晴れの試合は残念な結果になりました。
とはいえ、鹿島アントラーズはレアルマドリードをあと一歩のところまで追い詰めており、サッカーという試合がいかに気の持ちようでどうとでもできるというスポーツで、戦術やスキルで感嘆させる以上の感動が、この試合にはあったように思います。
終始フェアに立ち向かったのも、鹿島アントラーズの印象をさらに良くし、審判批判もしなかったのも、グッドルーザーだったと思います。
スポーツとはいえ、勝負を超えたところにある感動を与えられたという点で、準優勝という結果以上に、鹿島アントラーズが残した功績は偉大だったように思えます。
今回は鹿島アントラーズ対レアルマドリードの試合についてお伝えしました。
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